松阪 泰二先生,小泉 賢洋先生の研究論文 “Increase in podocyte number induced by SV40T antigen during the fetal stage does not expand glomerular size in mice”が,2026年10月2日にPhysiological Reports誌に掲載されました。
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(https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.14814/phy2.71114)
腎臓の糸球体には、血液を濾過するうえで重要な役割を担う「ポドサイト(糸球体上皮細胞)」という細胞があります。ポドサイトは成熟するとほとんど増殖しないため、腎疾患によってポドサイトが失われることは、糸球体障害や慢性腎臓病(CKD)の進行に深く関係すると考えられています。
本研究では、ポドサイトでSV40 large T antigen(SV40T)を発現させる遺伝子改変マウスを用いて、ポドサイトの数を人為的に増加させることで糸球体を大きくすることができるかを検討しました。
胎生期にポドサイトの増殖を誘導すると、出生時にはポドサイト数が平均約54%増加しました。しかし、ポドサイトが増加しても糸球体の大きさは増加せず、過剰に産生されたポドサイトの一部は多層化したり、糸球体から脱落したりすることが明らかとなりました。さらに、生後7日にはポドサイト数は対照群と同程度まで戻っていました。
これらの結果から、糸球体の大きさは腎臓の発生過程の比較的早い段階ですでに規定されており、その後にポドサイト数だけを増加させても糸球体を拡大させることはできないことが示唆されました。本研究は、糸球体の発生・成長を規定するメカニズムや、ポドサイトの恒常性を理解するうえで重要な知見と考えられます。
