駒場大峰教授の論文が2026年9月10日にAmerican Journal of Physiology-Renal Physiology誌に掲載されました。
急性腎障害(AKI)では、血中の線維芽細胞増殖因子23(FGF23)が急速に上昇することが知られていますが、その役割については十分に明らかになっていません。本研究では、ラットの虚血再灌流によるAKIモデルを用いて、FGF23やグリセロール-3-リン酸(G-3-P)を含むミネラル代謝の変化を経時的に検討しました。
AKI発症後には血清リン濃度が上昇し、それに伴ってFGF23およびG-3-Pが増加しました。また、尿中へのリン排泄が増える一方で、活性型ビタミンD[1,25(OH)₂D]は低下し、副甲状腺ホルモン(PTH)は上昇しました。その後、腎機能の回復とともに血清リン、FGF23、G-3-Pは低下し、活性型ビタミンDも回復しました。さらに、FGF受容体(FGFR)の働きを薬剤で阻害すると高リン血症が遷延したことから、AKI時に上昇するFGF23は、尿中へのリン排泄を促進して高リン血症を抑えるための生体防御反応として働いている可能性が示されました。
本研究から、AKIでは慢性腎臓病(CKD)に類似したミネラル代謝異常が非常に短期間に生じる一方、腎機能の回復に伴って速やかに改善することが明らかになりました。FGF23はAKIに伴う高リン血症を抑制する重要な適応反応である一方、その代償として活性型ビタミンDの低下や二次性副甲状腺機能亢進を引き起こす可能性があります。
駒場先生、おめでとうございます!
