東海大学医学部腎内分泌代謝内科

受診される方・医療機関の方へ

研究活動

日本内科学会ことはじめ2024

4月12日〜14日に第121回日本内科学会総会・講演会が東京国際フォーラムで開催されました。
4月13日には「医学生・研修医・専攻医の日本内科学会ことはじめ2024」が合わせて開催されましたが,当科からは3つ演題を出しました。
いずれも当科をローテートした研修医2年目の先生方に発表いただきました(以下に挙げます)。

・岡本 享子先生「腎生検にてAAアミロイドーシスと診断した特発性多発中心性キャッスルマン(iMCD)疑いの一例」
・千島 佑先生「混合性結合組織病(MCTD)の経過中にネフローゼ症候群を発症した一例」
・松本 大史先生「COVID-19 mRNAワクチン接種後に顕在化したIgG4関連腎臓病の一例」

それぞれ素晴らしい発表で,座長やフロアからの質問にも的確に答えていました。
先生方,お疲れ様でした!

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副田先生の原著論文「Association of serum sodium levels with fractures and mortality in patients undergoing maintenance hemodialysis」がJournal of Nephrologyに掲載されました!

Soeda K, Komaba H, Nakagawa Y, Kawabata C, Wada T, Takahashi H, Takahashi Y, Hyodo T, Hida M, Suga T, Kakuta T, Fukagawa M.
Association of serum sodium levels with fractures and mortality in patients undergoing maintenance hemodialysis.
J Nephrol. 2024 Mar 21. doi: 10.1007/s40620-024-01904-z.

https://link.springer.com/article/10.1007/s40620-024-01904-z

副田先生の原著論文「Association of serum sodium levels with fractures and mortality in patients undergoing maintenance hemodialysis」がJournal of Nephrologyに掲載されました。
維持透析患者における血清Na濃度と骨密度,骨折,死亡との関連性に関して,東海透析コホート研究のデータベースを用いて解析した研究です。
副田先生にとっては、大学院4年間の集大成となる論文となります。
副田先生、おめでとうございます!

背景:
・低Na血症は最も頻度の高い電解質異常であり,病的な骨吸収亢進や骨折リスクの上昇に関連することが報告されている。
・しかしながら,骨折リスクの高い集団である維持血液透析患者における血清Na濃度と骨折の関連についての報告は少ない。
・そこで本研究では,血液透析患者を対象とする大規模コホート研究のデータを解析し,血清Na濃度の低下が骨密度の低下,骨折リスクの上昇に関連しているかを検討した。

方法:
・東海透析コホート研究(後向き)のデータベースを用いた。
 - 対象:週 3 回の血液透析を 3ヶ月以上受けている満 20 歳以上の患者
 - 観察期間:2008年12月31日〜2015年12月31日
 - 症例数:2,292 例のうち,血清Na濃度のデータのある2,220名
 - 中手骨骨密度(BMD)は455名で測定
・ベースラインにおける血清Na濃度と中手骨BMD との関連をロジスティック回帰により検討した。
・次に,コホート全体の血清Na濃度と新規骨折発症(臨床骨折・椎体骨折・全骨折)および死亡との関連をCox回帰モデルを用いて,解析した。
・椎体骨折の発症は,国際臨床骨密度学会(ISCD)の指針に基づき身長低下(男性:≥3 cm,女性:≥2 cm)により定義した。
・感度分析として,以下の検討を加えた。
 - 死亡を競合リスクとみなした競合リスク回帰モデル
 - 血清Na濃度をブドウ糖濃度で補正(補正血清Na濃度=血清Na濃度+(ブドウ糖濃度-100)×0.016)
・欠損値は多重代入法で補完した。

結果:
・中央値5.4年間の観察期間において,712名の患者が死亡し,113名の患者が臨床骨折を,64名の患者が無症候性椎体骨折を受傷した。
・血清Na濃度と骨密度,骨代謝マーカーとの間に有意な関連性は認められなかった。
・血清Na濃度と新規骨折発症との関連性も認められなかった。
・一方,血清Na濃度の低下は死亡リスクの上昇と有意に関連していた。
・上記の結果は,死亡を競合リスクとみなした競合リスク回帰モデル,およびブドウ糖濃度を考慮した補正血清Na濃度を用いた検討でも同様であった。

結論:
・維持血液透析患者のコホートにおいて,血清Na濃度が骨代謝や骨折リスクに及ぼす影響は観察されなかった。
・一方,死亡リスクとは強い関連性を認め,その背景にある病態の解明にさらなる検討が必要と考えられる。

血液透析患者のALPの国際比較により予後との関連を発見 -大規模国際コホート研究DOPPSデータの解析-

https://academic.oup.com/endocrinesociety/pages/bone-research-2023?login=true/

当教室の深川雅史教授、駒場大峰准教授および新潟大学医歯学総合病院血液浄化療法部の山本卓病院教授は、血液透析患者の国際共同研究the Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study(DOPPS)に参加し、2005年から2021年の日本を含む9か国28,888人の血液透析患者を調査しました。その結果、血液透析患者の生命予後、心血管疾患、そして骨折にアルカリフォスファターゼ(ALP)が強く関連していることを明らかにしました。また、日本の患者ではALPレベルが世界的に見て低く管理されていることがわかり、ALPの適切な管理が血液透析患者の予後改善に寄与する可能性が示唆されました。

中川先生のCommnetary「Standardization of PTH measurement by LC-MS/MS: a promising solution for interassay variability」がKidney Internationalに掲載されました。

Kidney Int. 2024 Feb;105(2):244-247.

https://academic.oup.com/endocrinesociety/pages/bone-research-2023?login=true/

本稿はCavalierらによって開発された、異なるアッセイ間のばらつきを減らすPTH測定の新手法について論じており、この方法では、LC-MS/MSを基準にしてPTHアッセイの標準化を実現し、測定の一貫性を向上させました。

駒場先生の論文「Active vitamin D use and fractures in hemodialysis patients: Results from the international DOPPS」がJBMRに掲載されました。

J Bone Miner Res. 2023 Sep 17

https://academic.oup.com/endocrinesociety/pages/bone-research-2023?login=true/

透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症のコントロールのために活性型ビタミンDが一般的に使用されているが、活性型ビタミンDがPTHを抑制する効果とは独立して骨の強度を直接改善するかどうかは不明であった。本研究ではDOPPSの第3〜6フェーズの透析患者データをもとに、活性型ビタミンDの処方と骨折の関連を分析した。結果として、活性型ビタミンDの処方は骨折リスクを低下させなかった。これは現行のKDIGOガイドラインが、PTHが上昇している患者にのみ活性型ビタミンDを使用することを推奨していることを支持するものである。

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