東海大学医学部腎内分泌代謝内科

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研究活動

副田先生の原著論文「Association of serum sodium levels with fractures and mortality in patients undergoing maintenance hemodialysis」がJournal of Nephrologyに掲載されました!

Soeda K, Komaba H, Nakagawa Y, Kawabata C, Wada T, Takahashi H, Takahashi Y, Hyodo T, Hida M, Suga T, Kakuta T, Fukagawa M.
Association of serum sodium levels with fractures and mortality in patients undergoing maintenance hemodialysis.
J Nephrol. 2024 Mar 21. doi: 10.1007/s40620-024-01904-z.

https://link.springer.com/article/10.1007/s40620-024-01904-z

副田先生の原著論文「Association of serum sodium levels with fractures and mortality in patients undergoing maintenance hemodialysis」がJournal of Nephrologyに掲載されました。
維持透析患者における血清Na濃度と骨密度,骨折,死亡との関連性に関して,東海透析コホート研究のデータベースを用いて解析した研究です。
副田先生にとっては、大学院4年間の集大成となる論文となります。
副田先生、おめでとうございます!

背景:
・低Na血症は最も頻度の高い電解質異常であり,病的な骨吸収亢進や骨折リスクの上昇に関連することが報告されている。
・しかしながら,骨折リスクの高い集団である維持血液透析患者における血清Na濃度と骨折の関連についての報告は少ない。
・そこで本研究では,血液透析患者を対象とする大規模コホート研究のデータを解析し,血清Na濃度の低下が骨密度の低下,骨折リスクの上昇に関連しているかを検討した。

方法:
・東海透析コホート研究(後向き)のデータベースを用いた。
 - 対象:週 3 回の血液透析を 3ヶ月以上受けている満 20 歳以上の患者
 - 観察期間:2008年12月31日〜2015年12月31日
 - 症例数:2,292 例のうち,血清Na濃度のデータのある2,220名
 - 中手骨骨密度(BMD)は455名で測定
・ベースラインにおける血清Na濃度と中手骨BMD との関連をロジスティック回帰により検討した。
・次に,コホート全体の血清Na濃度と新規骨折発症(臨床骨折・椎体骨折・全骨折)および死亡との関連をCox回帰モデルを用いて,解析した。
・椎体骨折の発症は,国際臨床骨密度学会(ISCD)の指針に基づき身長低下(男性:≥3 cm,女性:≥2 cm)により定義した。
・感度分析として,以下の検討を加えた。
 - 死亡を競合リスクとみなした競合リスク回帰モデル
 - 血清Na濃度をブドウ糖濃度で補正(補正血清Na濃度=血清Na濃度+(ブドウ糖濃度-100)×0.016)
・欠損値は多重代入法で補完した。

結果:
・中央値5.4年間の観察期間において,712名の患者が死亡し,113名の患者が臨床骨折を,64名の患者が無症候性椎体骨折を受傷した。
・血清Na濃度と骨密度,骨代謝マーカーとの間に有意な関連性は認められなかった。
・血清Na濃度と新規骨折発症との関連性も認められなかった。
・一方,血清Na濃度の低下は死亡リスクの上昇と有意に関連していた。
・上記の結果は,死亡を競合リスクとみなした競合リスク回帰モデル,およびブドウ糖濃度を考慮した補正血清Na濃度を用いた検討でも同様であった。

結論:
・維持血液透析患者のコホートにおいて,血清Na濃度が骨代謝や骨折リスクに及ぼす影響は観察されなかった。
・一方,死亡リスクとは強い関連性を認め,その背景にある病態の解明にさらなる検討が必要と考えられる。

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