東海大学医学部腎内分泌代謝内科

受診される方・医療機関の方へ

糖尿病患者さんに「インスリンをやめられた」
「人生が変わった」と感謝される。

准教授・教室幹事(医局長)・第1診療センター長
豊田雅夫
准教授・教室幹事(医局長)・第1診療センター長豊田雅夫

糖尿病患者さんに「インスリンをやめられた」
「人生が変わった」と感謝される。

准教授・教室幹事(医局長)・第1診療センター長
豊田雅夫
准教授・教室幹事(医局長)・第1診療センター長豊田雅夫

診療体制の特徴

日本の大学の中でも東海大学腎内分泌代謝内科は、糖尿病と腎臓病を一括で診療できる数少ない診療科です。
糖尿病に関しては、境界型糖尿病の段階から糖尿病、合併症、末期腎不全まで一貫して診療が行われます。いずれのスタッフも糖尿病と腎臓病のトレーニングを積んでいるためこのような一貫診療が実現可能となっています。透析導入のみならず近年は移植外科との連携で、腎代替療法として腎移植への橋渡しも行います。

多くの大学や基幹病院では、糖尿病と腎臓病で診療科が分かれており、糖尿病が進行して腎機能が低下して来ると、糖尿病専門医が腎不全に関して専門的に管理することが難しいため、適切な処置が適切な時期に取りにくくなります。逆に腎臓専門医に紹介した場合には糖尿病の専門管理が弱くなる。このようなアンバランスは患者さんにとってデメリットとなることがあります。
しかし当科ではその特色を生かし、スタッフ同士で緊密な連携をとりながら、末期腎不全まで一貫して診療することができるようになる、まさに融合した医療が実現できていると自負します。


糖尿病はチーム医療で

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当病院全体で1日約3000人の外来患者さんがいらっしゃる中、当科のある第1診療センターはその1割の約300人を診察します。そのうち半数が糖尿病の患者さんですから、1日150人ほどを外来担当医が診察していることになります。
現在は医師6人の他に、看護師11人、薬剤師4人、栄養士1人といった多職種によるCDE(糖尿病療養指導士)の有資格者を中心にチームを組んで、糖尿病診療に取り組んでいます。糖尿病患者さんは増加の一途をたどり、それに合わせ様々なニーズが多く、若い先生も即戦力として活躍できる環境があります。
また、糖尿病は医師だけでは治療が完結せず、チーム医療で患者さんの治療にあたる必要があるのは良く知られております。しかし、先ほどのCDEは資格をとるのも難しいのですが、資格更新も難しいということはあまり知られておりません。そこで我々は定期的に、院内のみならず東京・神奈川を中心とした周辺施設のスタッフを対象に、望星台糖尿病セミナーを開催し、地域全体のレベルアップやCDE資格保持に貢献しています。 
さらに、毎週火曜日に開かれる糖尿病カンファレンスでは、医師だけでなく全ての職種が集合し、患者さんの治療方針を話し合います。異なった専門職が集まり、意見が飛び交う合同のカンファレンスは、互いに異なる視点でディスカッションができるため、翌日の診療にすぐ活かすことができます。まさに当科の特徴の一つと言えるのではないでしょうか。


最新の糖尿病治療について

糖尿病関連薬はインクレチン関連薬の登場で非専門医でも治療に参加しやすい時代になりましたが、糖尿病治療の王道であり醍醐味であるのは、やはりインスリン治療です。
当科の糖尿病治療の特徴の一つとして、積極的なBasal-Bolus法が挙げられます。
歴史的には、世間が混合型インスリンの2回打ちが大勢を占めていた2000年頃から、1日1、2回の持続性のある基礎インスリンと、1日3回の食前の追加インスリンを組み合わせるBasal-Bolus法を積極的に導入した実績があります。今となってはこのBasal-Bolus法は、より正常なインスリン分泌に近いパターンが実現できる方法として常識になりましたが、当時はなかなか普及していませんでした。そういった意味では関東でのBasal-Bolus法のパイオニア施設の一つと言えるのではないでしょうか。早期にBasal-Bolus法を導入し糖毒性を解除することで、速やかにインスリン療法から離脱する患者さんも後を絶ちません。患者さんから、「インスリンがやめられた」と喜びの声を聞くのはやはり何度聞いても嬉しいものですね。  
最近の我々はそのまた一歩先を目指し、以下に説明するインスリンポンプ療法やCGM(持続皮下血糖測定)システムを駆使した最新の治療の普及に邁進しています。


インスリンポンプ療法とCGMについて

講師・教室幹事(医局長) 豊田雅夫
インスリンポンプとはCSIIとも呼ばれ、24時間にわたってインスリンを注入できる携帯型の機器で、摂取する炭水化物量や運動量によってインスリンの注入速度などを詳細にプログラムできるのが特徴です。インスリン分泌が低下した患者さんや血糖コントロールが不安定な患者さんが良い適応とされています。当科でも対象となる患者さんには積極的に導入しています。これまではレストランではトイレに行って注射しなければならなかったのが、その必要がなくなり血糖も安定化し、「人生が変わった」とおっしゃる患者さんも少なくありません。
当科でインスリンポンプを導入管理している患者数は神奈川県でもトップレベルで、積極的に治療に用いています。現在日本でインスリンポンプを使用している患者さんはまだ約6000人足らずとされています。昨年一年で神奈川県では約90人の導入がありましたが、そのうち15人は当科で導入されました。すなわち、神奈川の導入の6人に1人は我々の手で導入していたことになります。 一方、CGMシステムは5分ごとに1日288回の血糖測定(厳密には組織間質液の糖濃度)を7日間連続で測定可能なシステムです。食後の高血糖やコントロール良好と思われていた患者さんの夜中の思わぬ低血糖などの発見に活躍しています。
例えば、近医で認知症と判断されていたものが予想外の低血糖が原因であることをCGMを駆使して発見するなど、指導や管理に有用なツールとしても活躍が期待されます。CGMは不整脈のある患者さんにとってのホルター心電図と言ったところでしょうか。ですから、糖尿病患者さんなら誰でも一度は24時間の血糖推移を評価してあげたいものですが、CGM自体高価なデバイスで、さらに保険運用するには施設の条件も決められているため、民間の病院ではなかなか導入できていないのが現状です。当外来では現在8台を同時運用し、患者さんの血糖値の動きを細かく観察し治療や指導に用いています。
インスリンポンプやCGMは基幹病院であっても、まだこれらを導入するための施設やスタッフの環境が整っていないため、当科でしか体験できない知識と技術を、是非若手の先生には吸収しに来て欲しいと考えております。


若いチームだから出来ること

糖尿病スタッフは私をはじめ若手と呼ばれる人員で構成されています。それゆえフットワークも軽く、様々なことにチャレンジしています。
2013年の8月には「インスリンポンプ、CGM、カーボカウントを実際に触って知ろう!」を合い言葉に、県内の医療従事者を対象に一泊二日で体験セミナーを主催しました。西日本ではだいぶ普及してきていますが、東日本ではまだこういった体験セミナーは初めての試みであったので、東京や埼玉県など遠方からも参加者があり盛況でした。チームスタッフそれぞれがインストラクターとして活躍してくれました。一泊二日で飲み会付きですので、知識のみならず懇親も充実していました。今後もこれらの普及のために定期的にセミナーを展開していく方針です。
また、若手の先生には積極的に海外留学を勧めています。私自身、アメリカの糖尿病性腎症の研究で著名なミネソタ大学に留学の経験もあり、そこで学んだことは今でも宝です。海外で勉強したい人は、様々な研究施設に紹介することも可能です。是非、グローバルな視点で生きていける医師になって欲しいと考えています。
このように我々は若いチームですから、学ぶ意欲があれば、いつでも腎臓にまで配慮した糖尿病医療の最先端に触れる環境が整っていると思います。是非一緒に学びましょう。


*2014年1月現在の内容です。

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