東海大学医学部腎内分泌代謝内科

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留学たより~ハーバード大学歯科医学校~駒場大峰

留学たより
ハーバード大学歯科医学校 口腔医学・感染症・免疫学講座 駒場大峰

 私は現在,かねてからの念願が叶い,ハーバード大学歯科医学校のLanske研究室に研究留学しています。
留学への憧れは学生の頃から漠然とありましたが,卒後,医師となり,症例報告や臨床研究を発表する機会を通じて,研究の楽しさ,研究を通じて成長する喜びを実感し,より具体的に留学の夢を抱くようになりました。
 私が主な研究テーマとしているのは,二次性副甲状腺機能亢進症に代表される,慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)という病態です。腎臓の病気を患い,その機能が低下すると,カルシウム,リンのバランスが崩れ,骨病変をきたすとともに,血管石灰化が出現します。近年,この病態にFGF23やKlothoなど,比較的最近になって発見された因子が重要な役割を担っていることが明らかとなっています。私はこれまで,このFGF23-Klotho系に関心を持って研究に取り組んできた経緯から,この分野の研究をリードするLanske研究室に関心を抱くようになり,主任研究者のBeate Lanskeに留学希望を申し出たところ,幸運にも研究室の一員として受け入れて頂けることになりました。
 

私の留学先のハーバード大学歯科医学校は,本校のキャンパスがあるケンブリッジとは別の,ロングウッド医療地区と呼ばれるエリアにあります。このエリアには,ハーバード大学医学校,歯科医学校の他,ブリガム・アンド・ウィメンズ病院,ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンター,ダナ・ファーバー癌研究所,ジョスリン糖尿病センター,ボストン小児病院など,各分野で世界トップクラスの医療施設が立ち並んでいます。それぞれの施設には独立した研究所があり,世界中から集まった研究者により,日夜,先駆的な研究が行われています。
ロングウッド医療地区の施設では,研究成果の発表や招待講演も頻繁に行われており,いずれかの施設に所属していれば,施設の壁なく自由に出入りでき,最新の知見に接することができます。私の留学先のハーバード大学歯科医学校では,ハーバード大学医学校,マサチューセッツ総合病院とともに,Bone Research Workshopというミーティングが定期的に行われており,ここで骨ミネラル代謝に関する各グループの最新の研究成果が発表されます。この会には,若手研究者のみならず,この分野のビッグネームも数多く参加しており,発表の後には盛んな質疑応答が行われます。発表者にとっては,学会発表やジャーナル投稿に向けこれ以上ない予行演習となり,非常に恵まれた環境です。
 私が所属しているLanske研究室では,FGF23-Klotho系に関するテーマを中心に,骨ミネラル代謝の解明に向けた複数の研究プロジェクトが進行しています。私自身は,ある特殊な遺伝子改変マウスに慢性腎臓病を引き起こし,CKD-MBDにおけるFGF23-Klotho系の役割を解明したいと考えています。ボスのBeateはオーストリア出身の女性研究者で,とても情に厚い先生です。米国では,研究者を単なる労働力として扱う研究室もあるようですが,Beateはそれぞれの研究員を家族の一員のように,そして敬意を持って接してくれます。またそれぞれの研究員の自主性を重んじ,研究テーマの選択にも非常に寛容です。研究室にはその他にアメリカ人,カナダ人,中国人,日本人がいますが,みな非常に親切です。自分は本当に恵まれた研究室に留学できたと思っています。
 日本の大学病院の医局,米国の研究室を両方経験すると,いくつかの違いがあることに気づきます。日本では,臨床医であり続ける限り,研究は臨床業務の合間にするものであり,研究活動に十分な時間を割くことはきわめて困難です。一方,米国では,日本と比較し,臨床業務に係る負担は驚くほど少なく,研究活動により専念することができます。しかしながら,日本の科研費に相当するNIHのグラントを獲得できなければ,非常に厳しい結末が待ち受けています。最悪の場合,研究を断念し,研究室を閉じなければなりません。一方,日本では科研費を獲得することができなくても,研究室が閉鎖されることはまずありませんし,限られた予算の中で研究を続けることも可能です。日米の研究環境,それぞれ一長一短ありますが,競争原理がより強く働く環境が作り出されていることが,米国を世界一の研究大国にさせている原動力ではないかと感じます。
 私が今いるボストンは,学問,研究のみならず,音楽や美術,歴史,スポーツなど,さまざまな分野で非常に魅力的な街です。ボストン美術館やボストン・シンフォニーオーケストラ,レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークなどが,研究室から歩いて行ける範囲にあります。ボストンの街並みはヨーロッパを彷彿とさせる雰囲気があり,アメリカ独立の舞台でもあることから,歴史的な観光スポットも数多くあります。少し足を延ばせば,夏はタングルウッド音楽祭,秋は紅葉狩り,冬はスキーも楽しめます。日々の研究は必ずしも期待する結果が得られるわけではなく,つらいこともありますが,休日には家族サービスと称してできるだけレジャーに出かけ,しっかりリフレッシュして,翌週の研究生活を前向きに迎えられるよう心掛けています。
 さて,私自身,米国に移ってはや一年が過ぎました。あと一年で思うような研究成果が出せるかどうか・・・それは自分にもわかりません。今は,期待に応え研究成果を出せるよう,日々頑張るのみです。しかし,たとえ結果が伴わなくても,この研究留学を通して自分は掛け替えのない経験をすることができたと思っています。そして,この経験は,自分の将来にとってきっと大きな財産となると思っています。帰国後は,米国への留学経験を活かし,これまで以上に活動的に研究を行っていきたいと思っていますが,それだけではなく,後輩や若手研究者に自分の経験を伝え,学び取ってもらうことも,自分にできることの一つではないかと思っています。


ハーバード大学歯科医学校の正面玄関。
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研究室のある研究教育棟。
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研究室でボスのBeateと記念撮影。
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芝生の美しいハーバード大学医学校の中庭。
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